今年の審美症例

美しい歯をつくることを審美治療というのであれば、それは「浅はか」と言うべきではないかと思います。

「美しい」が「長持ちする」ということがあって初めて、治療として価値あるものになると思います。

それには、「より厳格」な治療が行われなければいけないということではないでしょうか。

この患者さんは、70代女性、私のクリニックにもう十数年通っていただいています。上顎の歯がわずかに動くようになってきたので、2年ほど前、歯の裏側をワイヤーでとめました。

歯周病のため、歯を支えている骨が吸収され、20代の頃と比べれば40%ほどの骨しか残っていません。この方のプラークコントロールは良く、ポケットは正常の範囲です。

しかし、硬いものなどを前歯でかめば、それが暴力になり、歯が大きく動き出すかもしれません。それで、ワイヤーで固定しました。

定期健診の時、この方は次のような不満を訴えてきました。

①舌の先端がこのワイヤーにさわり、話す時も、食べる時もいつも気になる。

②歯の色も黄色くてきたない。

③歯と歯と間のすき間も気になる。何とかならないのか。

そこで、私は、ベニアの連結したものを作ってはどうかと提案しました。写真のように、ベニア連結体によって、歯の固定をおこない、同時に、白いきれいな歯とシンメトリーな歯列を作ったわけです。

実は、ベニア連結体を作るには、ちょっとした工夫がいります。

どんなイメージになるか。患者さんとの合意形成が一番重要です。今よりちょっと短い歯がいいのか、歯をすこしひっこめたいのか、どの程度の白い歯が良いのかと言ったことです。歯の削り方にも精度が求められます。正確な型どりがどうやったらとれるのか、かり歯をどう作っておくのかと言った問題にも、事前に術者は答えておかなければいけません。

患者さんは、これで気にしないで大声で笑えると言って帰っていきました。

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