残すか、残らないのか(2)

私は気になったので、この歯だけのCT写真をとるようにすすめた。

まだ「根の治療」にCT写真をとって吟味する歯科診療所はあまりないかも知れない。しかしこのケースのようにCT写真をとったからこそ、病態が詳しくわかり、適切な治療法を決定することができたのだと、私はひそかに思っている。

医科においては、レントゲンの発見によって、診断法は飛躍的に発達した。MRI,超音波エコー、さらには現代ではPETによって小さなガンでも発見できるようになった。診断法は、このように、科学の発達とともに、発展してきた。歯科も勿論科学であることを忘れないでいただければと思う。このようなCT診断を理解していただければ幸いだ。
病巣は根先端というよりは、根の背後にまわっている。

X線が上図のように入ってくると、X線は、それぞれの物体に応じて吸収される。水のようなものならば全く吸収されないが、骨のようなものであれば、X線は吸収される。吸収の濃淡を写真にしたものが、レントゲン写真である。レントゲン写真で白く見えるところは、X線がたくさん吸収したところになる。つまり、病巣(赤の線で囲った部分)は歯根の裏側にあるために、歯根部分でX線が十分吸収されてしまうため、普通のレントゲン写真では、点々をつけた部分しか病巣として認知されない。上図のような3次元撮影のCT写真だからこそ、病巣が裏側に位置しているとわかるのである。

歯医者さんは、Aさんのレントゲン写真をみて、どんな治療をおこなうのだろうか?

 

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