どこまで治る(2)

どこまで治る(1)の続き。Bさんの治療終了後の写真をごらんください。

 

一応治療目標は達成されたのではないかと思います。矯正治療と補綴治療によって、かみ合わせも3ミリほどあげることができました。矯正治療は、下顎インプラントをアンカーにして、レベリングを行い、前歯部の空隙をとり、歯軸をアップライトにしあげています。ちょっと表現がプロすぎるでしょうか、要するにきれいに歯を並べたということです。

改善された下顎歯列とコーディネーションするように、上顎のフルブリッジを製作しています。その結果「出っ歯」は改善され、より美人となっています。やや過剰ぎみに言えば、オトガイ部のボリュームが、しっかりとした横顔を作り、口唇線もほとんどなくなり、上唇に自然な緊張がよみがえり、Eラインが構成され、若々しいより知的なふいんきになったということです。

また上顎に「隙(げき)」を作らず可能な限り自然に仕上げました。こうなるまでには、私自身が何回となく「かり歯」を修正し、患者さん自身の審美的な検証をへて、両者が納得のいく形態を最終補綴としています。

レントゲン写真をご覧ください。

 

 

上顎に5本のインプラントがいれられていますが、上顎の骨量は極めて少なくサイナスリフトをおこなっています。次の写真は手術直前のレントゲン写真です。骨量は2ミリ程度しかありません。インプラントは骨に10ミリ程度入っている必要があります。従って、8ミリ以上の骨量をつくる必要があるわけです。その手術方法をサイナスリフトと言います。

 

「上顎洞」に人工骨(リン酸カルシウム剤)をPRPとともに充填し、インプラントを埋入した時のレントゲン写真です。

なんとなくつぶつぶした材料のものが、充填された人工骨で、手術直後は砂状ですが、4か月もすると、骨様のものにおきかわり、インプラントを支持するようになります。

美しく変身したBさんのはれ舞台は、御嬢さんの卒業式でした。ひょっとすると、御嬢さん以上に充実感を感じていたかもしれません。

今のBさんは思いっきり「笑う」ことができます。人とのコミュニケーションはつまるところ、「笑い」です。ほほえみも大笑いも、人との関係が生み出すものに他なりません。

今のBさんは,みなさんと会食する時も、料理の種類を気にする必要はありません。料理を十分味わうことができます。なんとうれしいことでしょうか。このポジティブさは、きっとより良き人生を作っていくことでしょう。

 

 

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