インタビューをうけました

3月中旬に某雑誌から、インタビューをうけましたので、その報告です。
女性2人、カメラマン1人、ほぼ1時間ぐらいのインタビューでした。
インタビューを受けている間、カメラマンがシャーターをバシャバシャ、ストロボをたきながら写真をとるので、なんだか興奮ぎみになってきました。
白金台駅から歩くこと3分。いちょう並木にちらほら緑の新芽が見られるようになったプラチナ通り。妙なアンバランスか、オアシスを求めてやってきたのか、らくだのロゴマークを冠した「デンタル増田プラチナ通りクリニック」がある。「ラクダのマークには、楽、のイメージが込められています。患者さんにとって楽な治療を提供したかったんです」と語るのは、院長の増田信義先生。患者の苦痛を最小限にすることで、通いやすい「楽な」クリニックをめざしているという。歯の治療は「イヤ」と相場がきまっているものだが、どん楽な治療を提供してくれるのだろう?そこのところを、たっぷりと話を伺った。(取材日2013年3月17日)

―麻酔しなければとんでもなく痛いと思いますが、その麻酔の針も結構痛い、どうなんでしょう?
緊張されていますから、当然だと思います。できることは、何でも実践しております。
針の細いものを使うとか、痛覚の少ないところに針をいれるとか、できるだけゆっくり薬液をいれていくとか、そういった目的の器械もあります。しかし、一番効果があるのは、表面麻酔ではないかと思います。私のところでは、一般に販売されているものではない、調合された、表面麻酔薬を使っています。また、麻酔の効果自体を強く長くする必要のある処置もあります。例えば、横にはえている下顎の「親知らず」の抜歯の時などです。ほとんどの歯医者さんが使っているキシロカイン以外に、私のところでは、マーカインも使っています。
さらに、精神的な緊張をとるということで、「静脈鎮静法」も行っております。これは、鎮静剤を静脈内にいれ、意識はあるものの、うつらうつらした状態で、処置を行うことができるというものです。血圧を自動的に測っておりますと、緊張のためか、「麻酔」をすると、血圧が30位上がる方はざらにいます。こうした緊張状態では、時間のかかる処置や、難易度の高い処置を安心して行うことができません。「静脈鎮静法」を行いますと、血圧はほぼ正常となります。安定した循環状態は、高血圧など慢性疾患を持っていらっしゃる患者様が多い昨今、患者様にとっても、術者にとっても、大変好都合だと思います。
―楽な治療の意味は三つあるということですが、どういうことでしょうか?
先ほどから話がありましたように、「痛い」ということに対するバリヤーがあります。また、それと同程度に、「腫れる」があると思います。
「○○歯医者さんで、△△したんだけど、こんなに腫れちゃって」よく耳にする会話です。「腫れる」にも、いい腫れと悪い腫れがあります。悪い腫れというのは、まさに炎症が拡大していく局面です。良い腫れというのは、治癒する前段階としての、生体の正常な反応としての腫れです。例えば、歯を抜くような場合、その歯自体が炎症をひきおこしている原因となっているから、抜歯をするわけです。しかし、正しい処置であっても、その処置に対して生体は反応するわけです。つまり腫れるわけです。そうした正常な反応にまで、現代人は非寛容になってきているようです。
私のところでは、親知らずの抜歯やインプラント手術の際にはPRPを手術部位にいれ、できるだけ腫れが小さくなるようにしております。PRPというのは、もともとインプラント手術の際、はやく骨を造成させる目的で考案されたもので、患者様から採血し、遠心分離機で、血小板だけを3~5倍程度濃縮したものです。これをその方の手術部位にいれると、骨造成だけではなく、疼痛も緩和し、腫脹も軽減します。
このように、第一の「楽だ」は「痛み」と「腫れ」に対してということになります。
しかし、表面的な対症的な技術にこだわっているわけではありません。最も大切なことは、歯医者自身の診断や処置によって、このような症状をひきおこさないという点にあります。つまり、医原的な「痛み」や「腫れ」をおこさないということです。例えば、歯の神経をとるという処置を考えてみますと、神経を完璧に近くとれば、痛みがでたとしても、生体反応としての痛みであり、せいぜい続いても2,3日で、強烈で長く続く痛みとはならないわけです。また、単なる歯槽膿漏と診断したものが、歯性上顎洞炎だったといった診断ミスなどでしょ。このような本質的なミスをおこさないよう自省し、勉学したいと考えています。
―第二の「楽だ」はどういうことでしょうか?
みぐるしくないよう、治療計画や処置内容を考えているということでしょうか。
実際の症例でお話しします。上顎の奥歯はもうすでに1本もなく、前歯はあるにはあるが、グラグラになっている。もう抜く以外ないといった状況で来院された方がいます。奥歯の入れ歯は持っているが、咬むと痛いのと、しゃべりにくいので入れていなかった。今ではまったくあわなくなってしまった。前歯はずいぶん前から動くようになってきたのは知っていたが、歯医者に行けば、全部抜かれると思い、一日のばしにしてきた。今日、朝ごはんを食べたら、少し痛くなってきた。おそろしくなってきたので、大学病院を受診しました。
この方は、入れ歯がいやなので、インプラントを植えたいと思いました。大学では、とりあえず前歯を抜歯して、入れ歯にしましょう。抜歯の傷がなおってから、インプラントをうえます。入れ歯はインプラントが骨にくっつくまで、少なくとも4か月程度は使うことになります。つまり都合少なくとも半年以上入れ歯を使う必要があるということです。入れ歯がいやでインプラント治療をしようと思ったのに、入れ歯になってしまうということです。
この方は、誰かの紹介で私のところに来ました。私のところでは、前歯は抜歯して、即インプラントをうえました。大学が予定していた、ツータイプのインプラントではなく、ワンパーツのインプラントです。そして、ほぼ12歯連続したかり歯を、当日作って帰っていただきました。ここでお断りしておきますが、私が大胆な治療が好きだから、大学がやっていないような治療をするのではありません。大学と私では、目指すベクトルが違うのです。そのために、私は私流のオリジナルな方法を実践しているのです。そして、多くの方々を今話したように治療してきました。
みばえ、外見は本当に大切です。見苦しくない外見を維持したい熱望の前には、こざかしい理屈などいとも簡単に吹き飛んでしまいます。そこで、美人のインタビャーアーのあなたに質問です。「究極の選択をせまられました。あなたはどちらを選択しますか?ひとつは頭の毛を切って5分刈りにする。もうひとつは、あなたの上の前歯を1本抜く。さあどうします。」
―困りました。本当にどちらもイヤですが、髪の毛を刈るにします
歯は顔をつくっており、表情を作っています。表情によってコミュニケーションが可能になります。怒りの表情で愛をささやいても信じる人はいないでしょう。顔の持つ表情はあなた自身のすべてを表象しているのです。この公理が幻影であっても、この幻影を完全に振り払う武器をだれも持っていないようです。
わたしのところでは、「見苦しくないみばえ」を維持しながら治療するというのは、当然の前提となっています。
―いよいよ三つ目の「楽だ」になりましたが、何でしょうか
しかし、抜歯すべきではと考える歯にレーザー治療を希望する患者さんが多くいらしゃいます。サイエンスを説明しても、長年の自分の歯に対する思いの丈が高く、納得しません。さらに困ったことには、感情を理論武装すべく、どこからか聞きかじった理屈のかけらでつなぎ合わせてくる。まるで、一所帯の家を作るのに、玄関が三つもあるような話になってくる。どんな家を作ってきたかで大工の力量がはかられ評価されるのは、やぶさかではないが、大工自体を信頼できないのに、ちゃんとした家をたてろでは無理難題でしょう。
私のところでは、たいてい複数個の治療方法を説明しています。その方のいろいろな条件にあわせ、かつ全体的にも有意義と考える治療計画を提案しております。忌憚なく話し合って、より良い方法を見つけていきたいと思っております。
治療はながくもってこそ意義があります。ながく良い状態をつづけさすためには、治療レベルの問題は当然のことですが、なんでもなくても定期的に来院していただかなくてはいけません。なぜなら、その方が認識できる症状がでてきてからでは、多くの場合、健診の意味はなく、十分な治療を行わなければいけないといった状態になっているからです。最少の費用で最大の効果をだすためには、定期的健診が不可欠なのです。特にインプラントに関しては、もっと強くそのことが当てはまると思います。サイレントな症状を、レントゲやCTから読み解く必要があると思います。問題があれば、すみやかに、レスキューする必要があります。
ある方が、「私は、歯みがきには自身がある。ちゃんとみがいてさえいれば、歯周病なんかにならない」と。
これは正しいでしょうか。歯医者に歯周病は一人もいませんか?衛生士さんに歯周病は一人もいませんか?
明らかに誤りです。私は、当クリニックオリジナルの「マウスクリーンコンフォート」を私のスタッフに定期的にやっていただいております。ご自分がどんなに手馴れでも、他人の手助けなくして、予防はできません。
また、当クリニックオリジナルの「マウスクリーンコンフォート」は、おざなりのクリーニングではありません。その方の手で磨けていないところを発見し、完璧にプラークをとることを、目的としています。ですから、価値あるサービスだと考えています。
―ところで、表のウインドーには、らくだは三つではなく、五つありますが何か理由がありますか。
最後の「楽だ」は、私と私たちスタッフ全員が、日々の仕事を「楽しく」すごせたらという意味をこめました。
勿論、娯楽的楽しさを意図しているのではありません。「よくて当たり前」という仕事を行っていくには、
自分の基準ではない、他の何かの基準で仕事をするということであり、それは多くの場合、自分に対して厳しくと同意語となります。そうした経験のなかで、私も若いスタッフたちも、生きていくための、本当の武器を少し手にいれられるのではないかと考えています。それが人生にとって楽であれば、これに過ぎたるはないと考えます。
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