自費の根管治療の患者さんからの質問

大変幸運なことに、毎月多くの患者様が、自費の根管治療を希望されます。

次第に、根の治療の重要性が理解されてきたのかもしれません。

そのような患者の当クリニックへの質問と、私なりの感想を書いてみます。

一番多いのは、やはり治療費の話です

①かぶせる治療は、ほかの歯医者にやってもらいたいのだが

②前歯の最低治療費を教えてほしい

③治療日ごとに治療費がかかるのか   、と言った内容です。

根の治療と、かぶせる治療は車の両輪です。どちらも信頼できるものでなければなりません。歯は根+冠ではじめて機能できるのです。

また、かんでいればいいというものではありません。

歯には当たるべきところと当たってはないけないところが決められています。こうしたことを正確に実現するには、信頼できる技術をもった技工士と補綴(冠を作る分野)に関する歯科医の高い技術が必要です。

次に多い質問は、設備や材料に関するものです

①マイクロスコープを使っているか

②ラバーをするのか

③MTAセメントを使っているか

⇒①~③はすべて使用しています。

設備や道具は重要ではありますが最も重要なのは、診断と手技です。

臨床経験が浅い歯科医でも、お金をだしてマイクロスコープを買えば、即、根の治療が上手にできるようになるのでしょうか。マイクロの使い方に慣れれば根の治療の専門医となれるのでしょうか。ラバーやその他お金のかかる材料を使えば上手になるのでしょうか。多くの患者さんはそのように考えているようです。

私の考えでは、否です。

たとえて言えば、高いゴルフクラブを買えばシングルになれるのでしょうか。シャネルの何とかという高い化粧品をしっかり塗り込めば美人になれるのでしょうか。答えは明白でしょう。

志に支えられた技術と診断力が、わずかにではあっても成功率を高めていくのだと思います。このことに、こだわりたいから「自費の根管治療」を行っているのです。

残念ながら治療をやらない方がいます

当クリニックでやらない理由はいろいろあるでしょう。

①お金がもったいない

②技術的に信頼できない。特に外科的処置が必要というのには納得できない

③私と相性が合わない

④本当に治るのか

患者さんの好き、嫌い、いやだ、では歯は残せません。患者さんの情緒で歯が残せるなら、サイエンスとしての歯科治療はいりません。

私たち歯科医はサイエンスに基づいた技術を売り物にしております。

そのことがわかるには、情緒を抑え込む理性が必要だと思います。病んでいる歯の主人は、患者さん自身にほかなりません。病んでいる歯を助けられるのも、実は患者さん自身の理性しかないのだと思います。

さらに決断をにぶらせるのは、本当に治るのか。治りもしないものに金を出したくはない。

私もそうです。願ったことが100%満たされるとは限りません。

それでも、試みない決断に、未来はないと思います。

 

 

カテゴリー: 歯科の新しい治療法 パーマリンク