テレビのコマーシャルのように、歯(正確には歯ぐき)を磨いているだけで、歯周病が治るのでしょうか。
答えは、『否』です。
磨いているだけで治るのなら、歯科医はいらない。衛生士で十分でしょう。
勿論レーザー治療にも限界があります。
そこで、中程度以上の歯周病は全症例、手術によってかなり改善できると言っても過言ではありません。いやむしろ積極的に手術を行うべきです。
手術にもいろいろな種類がありますが、当クリニックで行っている搔爬手術を紹介します。
手術目的は、①歯周ポケットをとること。
②失われた骨を再び造成して、堅固な骨構造を作ることです。
症例1 50代女性
ポケットは8ミリ。このくらいになると、歯ブラシの毛先でポケットをきれいにできない。ポケット自体が歯周病悪化の原因になっているのです。ポケット除去が必要。確実な方法は、搔爬手術以外ない。
開け、感染性の不良肉芽組織をとると、大きな陥凹した骨欠損があきらかになります。
有効な治療がおこなわれないまま、歯周病の進行によって骨が吸収消失してしまった、その姿を表しています。この段階では何ら骨をいじってはいません。
次に、骨の形状が極めて悪いため、正常近く、骨の形態を整えます。
骨がなくなったところには、代用骨(TCP)とPRP(患者さんの血液の血小板のみを3倍程度に濃縮したもの)をいれ、骨を造成させます。
さらに、非吸収性のメンブレン(白い紙様の膜)をいれ、上皮組織の侵入を防ぎ、良好な骨組織の治癒促進をはかります。こうすることで、骨が新生されるのです。
このように、手術によって、歯周病の原因となっているポケットを除去し、積極的に骨造成をはかることができるのです。大事なのは、骨造成という点で、このことにより、歯の骨植を根本から改善できます。
念のためレントゲン写真でくらべてみましょう。初診時が下の写真です。手術後3か月後の写真と較べてください。☝のところに注目いただければ、骨がつくられていることはわかっていただけると思います。